世界でも珍しいブナの原生林、白神山地
こんにちは、家庭教師みつけ~るの荻原です。
今回は日本の世界遺産について詳しく見ていきたいと思います。みなさん、日本にはいくつ世界遺産があるか知っていますか??
なんと25個も認定されています!(2022年現在)
今回は、東北地方にある「白神山地」について学んでいきたいと思います!
世界遺産への登録の経緯
白神山地は青森県南西部から秋田県北西部にまたがって広がっている山岳地帯です。総面積130,000ヘクタールのうち、ブナの原生林が広がる16,971ヘクタールが世界遺産に登録されています。
白神山地が文献に登場するのは江戸時代で、一部が薪炭の供給基地として使われたり木炭を使用した製銅が行われました。明治時代に入ってからは鉱山や製炭事業が行われました。
1970年代に入り伐採工事計画が持ちあがるものの、自然保護の声が高まり反対運動が行われます。1990年に白神山地森林生態系保護地域が制定されると伐採工事計画は中止となり、保存・保護の動きが高まります。1992年には自然環境保全地域に指定されました。
白神山地の豊かな自然が守られた結果、1993年に屋久島とともに日本で初めての世界自然遺産に登録されました。
世界遺産に登録された理由
世界遺産の登録基準は以下の10条があります。
- 人類の創造的才能を表現する傑作。
- ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
- 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
- ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
- 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの。
- ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
- 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
- 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
- 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
白神山地は9の基準を満たしています。どのような点が評価されたのか、わかりやすく見てみましょう。
①広大なブナの原生林
白神山地にはブナの原生林が広範囲に渡って生息しています。人の手が入っていない形のブナ林が残っているのは世界でも類を見ないとして高く評価されています。
ブナの原生林が残った背景には、白神山地は厳しい山岳地帯であり、樹木の伐採や運び出しが難しかったことが挙げられます。また、大量の樹木を必要とする大都市圏から離れていたため、伐採の対象となりにくかったことも影響しています。
白神山地は510万年前頃まで海であり、火山活動によって隆起し陸上となった場所です。ブナが生え始めたのは12000年前とされ、8000年前には現在のブナ林ができたと考えられています。8000年前の姿がそのままの形で残されていることも、世界的な価値を有しています。
②多様な生態系
ブナは北半球の冷温帯に分布していますが、世界のブナ林は氷河期の影響を受け、生態系が大きく崩れてしまいました。ところが、白神山地のブナ林は南に拡大することで氷河期の影響を免れたため、当時の生態系をほぼ維持することができたのです。こうした原始的なブナ林に住む動植物の多様性も、世界遺産登録にあたって高く評価されました。
白神山地には絶滅危惧種のクマゲラをはじめ、94 種の鳥類が生息しています。また、特別天然記念物のニホンカモシカや、ツキノワグマ、ニホンザルなどの中型・大型の哺乳類が14種生息しています。
植物は固有種であるアオモリマンテマやツガルミセバヤなど500種以上が確認されています。
守っていきたい白神山地
白神山地は高低差が数百メートルある渓谷や標高1000メートル級の山々が連なる険しい山岳地帯です。そのため人の手が入ることがなく、ブナの原生林や多様な生態系が現在まで維持されてきました。
白神山地は人の手が加えられていないものの、だからといって人々の生活と全く無関係であったわけではありません。近年の調査では白神山地の山あいから縄文時代の遺構などが発見され、この地で人々が生活を営んでいたことがわかっています。白神山地がもたらす豊かな自然は、縄文人の生活に欠かせない狩猟・採集に大きな恵みをもたらしていたのです。
また、1000年以上前からマタギの文化が存在しており、現在まで継承されています。
白神山地は世界的にも貴重な自然遺産であり、今後も維持し継承していくことが課題となっています。
白神山地は人の手が加わっていないことが価値の一つであることから、登山ルートを設置せず自然の状態を維持することに努めています。また、世界遺産登録地域(核心地域)は入山が制限されています。
ブナは寒い地域に分布する樹木です。そのため、地球温暖化が進むと白神山地のブナ林が失われてしまうのではないかという懸念が高まっています。現在の速度で温暖化が進むと100年後にはブナ林の約9割が失われる恐れがあり、それに伴って生態系も大きく崩れてしまうと考えられています。世界遺産である白神山地が抱えている問題は、まさに世界規模で考え取り組んでいかなければならない問題でもあるのです。
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