誕生以来一度も陸続きになったことがない島、小笠原諸島
こんにちは、家庭教師みつけ~るの荻原です。
今回は日本の世界遺産について詳しく見ていきたいと思います。みなさん、日本にはいくつ世界遺産があるか知っていますか??
なんと25個も認定されています!(2022年現在)
今回は小笠原諸島について学んでいきたいと思います。
世界遺産への登録の経緯
小笠原諸島は日本列島から南南東に約1000キロメートル離れたところにある、30あまりの島々で成り立っています。世界遺産に登録されているのは「聟島列島」「父島列島」「母島列島」「北硫黄島」「南硫黄島」「西之島」で、総面積は7,939ヘクタールです。
小笠原諸島は太平洋プレートとフィリピン海プレートの境目に位置しています。4800万年前に、太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込むことによって誕生しました。大陸と一度も陸続きになったことがないことから、独自の生態系が育まれています。
小笠原諸島は17世紀に発見されました。その後、何度か探検が試みられるものの失敗が続き、長らく無人島でした。1830年に欧米系の人々が入植を行います。1876年に日本が欧米諸国の同意のもと小笠原諸島を領有すると、20世紀初頭にかけて日本国内から移住者が渡り、人口が増えていきます。太平洋戦争がはじまると島民が強制疎開させられました。戦後は連合軍の支配下に置かれ、68年に返還されます。
返還後は自然保護の動きが高まり、1972年に国立公園に指定されます。1975年に南硫黄島原生自然環境保全地域が、1980年に小笠原諸島鳥獣保護区が指定されました。2003年に世界遺産の候補地となり、2011年に世界自然遺産に登録されました。
世界遺産に登録された理由
世界遺産の登録基準は以下の10条があります。
- 人類の創造的才能を表現する傑作。
- ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
- 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
- ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
- 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの。
- ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
- 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
- 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
- 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
小笠原諸島は9の基準を満たしています。どのような点が評価されたのか、わかりやすく見てみましょう。
①小笠原諸島独自の生態系と豊かな自然
小笠原諸島は誕生以来一度も陸続きになったことがない島です。そのため、生物は独自の進化を遂げることができ、小笠原諸島でしか見ることができない生態系を生み出しました。カタツムリは、106種類のうち100種類が固有種です。カタツムリを餌とする生物がいなかった小笠原諸島だったからこそ広がった、独自の生態系の例と言えるでしょう。また、植物の36%、昆虫の28%が固有種とされています。
小笠原諸島には絶滅危惧種など学術上貴重な動物が生息しています。ハハジマメグロは小笠原諸島母島にしか生息しておらず、特別天然記念物に指定されています。他にもオガサワラオオコオモリやシマアカネなどの絶滅危惧種の生息地として評価されています。
小笠原諸島は豊かな自然が残っている点も評価されています。父島の南島はアオウミガメの産卵地として知られており、立ち入りを制限するなどの環境保全が行われています。
②生物の進化の過程を見ることができる
小笠原諸島では、一つの生物が環境の違いに適応するために色や形を変え、多様な進化を遂げた「適応放散」の歴史を見ることができます。
カタマイマイは、土の上で生活するものは黒っぽい色に、木の上で生活するものは淡い色に変化を遂げました。適応放散は植物にも見られ、乾性低木林は父島の気候風土に適応するために葉の形を変化させました。
このように、生物の進化の過程を現在進行形で見ることができるのは珍しく、大変意義深いとして評価されています。
小笠原諸島とは
小笠原諸島は4800万年前に、太平洋プレートがフィリピン海プレートに沈み込む火山活動によって、父島列島と聟島列島が生まれました。その後母島列島をはじめとする島々が誕生し、火山活動は現在も続いています。
父島をはじめとする各地の地層にはマグマ組成の過程や火山活動の歴史などがあらわれており、海洋性島弧の誕生から成長までを見ることができる貴重な見本とされています。
小笠原諸島は、もとは無人島でした。19世紀に移住を開始したハワイや欧米系の人々が「無人(ブニン)」を「ボニン」と読んだことから、「ボニンアイランド」と呼ばれ親しまれています。「ボニン」の発音にちなみ、小笠原諸島周辺海域の美しい海面の青色は「ボニンブルー」と呼ばれています。
小笠原諸島は1876年に日本に変遷され、1880年に東京の直轄地となります。20世紀初頭にかけて移住者が増加するものの、太平洋戦争中は疎開を余儀なくされます。硫黄島は日米の激戦区となりました。戦後は連合軍に占領され、1968年に返還された後に復興が行われました。現在、住民が居住しているのは父島と母島のみで、硫黄島と南鳥島は公務員が常駐しています。その他は無人島となっています。
小笠原諸島では豊かな自然をもとにした観光業が盛んにおこなわれています。また、亜熱帯の気候を利用し、レモン、マンゴー、コーヒーなどの栽培もおこなわれています。
小笠原諸島の独自の生態系は外敵がいないことで保たれてきました。豊かな生態系や固有種を守るため、島では外来種の駆除、持ち込まない・持ち込ませないための規制や努力が行われています。世界遺産に認定される自然や生態系を守るためには、小笠原諸島を訪れるすべての人々の努力や注意が必要と言えるでしょう。
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