日本国内にある唯一のル・コルビュジエ、国立西洋美術館本館
こんにちは、家庭教師みつけ~るの荻原です。
今回は日本の世界遺産について詳しく見ていきたいと思います。みなさん、日本にはいくつ世界遺産があるか知っていますか??
なんと25個も認定されています!(2022年現在)
今回はル・コルビュジエの建築作品について学んでいきたいと思います。
世界遺産への登録の経緯
「国立西洋美術館本館」は東京都台東区上野公園内にある国立西洋美術館の本館建物です。単独での世界遺産登録ではなく、フランスをはじめとする7か国共同の「ル・コルビュジエの建築作品」を構成する資産の1つとして登録されています。登録面積は、「ル・コルビュジエの建築作品」全体の構成資産が98.4836ヘクタール、保護緩衝地帯が1,409.384ヘクタールです。
ル・コルビュジエは近代建築の5原則を提案するなど、近代建築の最高峰の作品を数々築くととともに、20世紀の建築やデザインの分野に大きな影響を与えました。国立西洋美術館は、日本国内にある唯一のル・コルビュジエ作品です。
世界遺産委員会では1994年以降、登録遺産の充実のため20世紀の建築を登録する動きが高まります。すると、建築の巨匠であるル・コルビュジエの作品を登録しようという動きがフランス国内で起こりました。フランスがル・コルビュジエの作品が残る国に打診した結果、スイス、ベルギー、ドイツ、アルゼンチン、インド、日本が参加を表明します。2008年に第一回目の推薦書が提出され、3回による推薦・審議の結果、2016年に世界文化遺産に登録されました。「ル・コルビュジエの建築作品」はヨーロッパ・南アメリカ・アジアと3つの大陸をまたにかけて世界遺産が登録された初めての例です。
世界遺産に登録された理由
世界遺産の登録基準は以下の10条があります。
- 人類の創造的才能を表現する傑作。
- ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
- 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
- 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
- ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
- 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの。
- ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
- 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
- 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
- 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。
「ル・コルビュジエの建築作品」は、1,2,6の基準を満たしています。ここでは「国立西洋美術館本館」のどのような点が「ル・コルビュジエの建築作品」を構成する資産として選ばれたのか、わかりやすく見てみましょう。
①「近代建築の五原則」と「無限成長美術館」
ル・コルビュジエはそれまでの建築様式とは異なる「近代建築の五原則」を提唱します。「近代建築の五原則」とは「ピロティ」「自由な平面」「自由な立面」「独立骨組みによる水平連続窓」「屋上庭園」の5つの要素によって構築され、西洋の伝統的な建築方法であった壁によって建築物を支える手法では成しえない新しい設計を可能にしました。この考え方は建築や都市計画に大きな影響を与え、世界でオシャレかつ美しい建物が生み出されるきっかけとなりました。国立西洋美術館本館も「近代建築の五原則」に沿って建築されています。
「無限成長美術館」とは展示空間を渦巻き状に設定することにより、展示する美術品が増えたとしても外側へと増築・拡大することによって展示空間を確保できるという考え方のことです。国立西洋美術館本館は、ル・コルビュジエが提唱する無限成長美術館構想に沿って建築された優れた作品として評価されています。
②ル・コルビュジエが世界の建築に与えた影響を見ることができる
ル・コルビュジエの作品は世界中に約70残っています。国立西洋美術館本館は東アジアにある唯一のル・コルビュジエ作品です。国立西洋美術館本館はル・コルビュジエが世界で活躍した証拠であり、その影響がヨーロッパのみならずアジアにまで及んだことを示す顕著な例として評価されています。
国立西洋美術館本館
国立西洋美術館本館は、1959年に開館した西洋美術専門の美術館です。収蔵品は松方幸次郎が集めた西洋美術コレクションである「松方コレクション」が主体となっています。
「松方コレクション」は第二次世界大戦後、フランスに接収されます。1951年に返還されることが決まったものの、その条件はコレクションを収蔵するのにふさわしい美術館を新しく建築するというものでした。日本はフランス側が納得する美術館をつくるため、近代建築の巨匠であるル・コルビュジエに美術館の設計を依頼することとなったのです。
国立西洋美術館本館は地上3階、地下1階の4階建てで、鉄筋コンクリートで造られています。柱で床を支える自由な空間設計をはじめ、無限成長美術館構想に基づく回廊状の展示室、自然光を取り入れた設計など、ル・コルビュジエのこだわりが所々につまっています。
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