読書の効用

「読書習慣は学力の向上につながる」ことはよく言われますが、これは私の経験談です。私は52年生まれ、今年70歳です。今とは教育事も随分異なりますが、基本的なことは同じであり、参考になると思います。

私が小学生の頃は、まだ戦争の名残もある時代でした。給食はありませんでしたが、クラスの1割位は弁当を持ってこられない者もいた時代です。中学を終えれば集団就職で都会へ行く者が半数以上であり、4割位が高校へ進学するという状況でした。小学時代の同級生の1割位が大学まで行きましたが、その者は中学から都市部の私立中学へ移りました。山間部の貧乏百姓の子は、大学などは無関係の時代でした。私の中学から大学まで進む者はほぼおらず、時々国立高専へ1名程度行く程度でした。
そんな状況の中で、私は大学へ進むことになります。いくつかの要因がありましたが、まず父の熱心な勧めです。今になって理解できるのですが、山間部の貧乏小作農家の長男として、何とか貧乏から脱却し学問で身を立てたかったようです。だが祖父母の協力、理解が得られず軍に志願し、戦後は再び貧乏百姓に戻りました。その無念さから子供達には「大学へ行け、海上保安大学ならただで行ける」と発破をかけられました。ただ周囲の状況から、そんな大それた意識を持つことも無く過ごしていました。私は末っ子でしたからなおさらでした。年代的にポスト団塊の世代になりますが、地区の子供は大半私より年長であり、遊ぶ時でも主導権はありませんでした。性格もあるのでしょうが、おとなしく引っ込み思案、ある時父が私のいる部屋で母に向かい「この子は大人しすぎる、成績も兄弟で一番悪い、どうしたものか」とこぼしていたのを覚えています。これが多分読書の影響で、だんだんと成績が向上するのですが、後にクラスの悪ガキが「昔はお前も俺たちと同じく劣等生だった」と言っておりましたから事実でしょう。ここから読書体験です。

読書が好きになったキッカケ

私が読書好きになったのは、当時の環境の影響だと思います。当時はまだテレビは富裕層や理容店等一部にしか普及していませんでした。また電波事情が悪く所謂「霜降りテレビ」であり、地区的にNHKの受診料は免除されていました。ラジオは子供向け番組が夕方の5時以降でした。子供は各人が割り当ての家事があり、末っ子の私の役割は風呂焚きと庭の掃除、牛への水やりでした。皆と遊ぶ時間は工夫すれば有るのですが、小学高学年の先輩ばかりであり、それよりはいつでも間に合う、面白い、一人でもできる読書になりました。
またもう一つ,多分公的なお金で各集落に「○○地区児童文庫」が設けられ、我が家がその管理をしていました。子供向けの伝記ものや古典、童話、科学もの等で20冊程度であったと記憶しています。覚えている本を挙げてみますと、孫悟空、エジソン、一休さん、ジョン万次郎、グリム童話、今昔物語、源氏物語、その他科学ものです。
小学生になる前から小学5年生になる頃まで、繰り返し読んでいたはずです。一休さんなどは頓智から人生訓までほとんど覚えています。因みに一休さんのことと、その他の人物の特に印象に残っている項目をあげてみます。まず一休さんです。後小松天皇の子供とのことだが、どうして天皇の子供が坊さんになるのかわからなかった。頓智では、絵にかいたトラの話の他に、その時の応答が気に入った将軍が魚料理を出した話があります。同行の師匠は当然手を付けませんが、一休さんは全部平らげます。それを見た将軍が、魚食は戒律違反ではないかと問い詰めます。一休さんは答えて、この喉は鎌倉街道のようなものですから、いろんな人が通る、今は魚屋が通ったと答えます。そこで将軍が刀を抜いて「それならば武士を通してみよ」と迫ります。一休さんはいささかも慌てず「この口は鎌倉街道の関所です。怪しい者は通しません」と言って将軍から刀を取り上げました。その受け答えに将軍はますます一休さんを気に入ったという話でした。きりがないので他の人の特徴的な話をもう少し書きます。ジョン万次郎の話では米国を「こめこく」と読んでいましたが、アメリカであることは理解していました。エジソンが蓄音機を発明し、研究員の前で吹き込んだ最初の音楽がメリーさんの羊でした。これは「メリーハッド、ア、リトルラム」の文句を覚えており、社会人になってから理解しました。科学モノでは主人公の少年が天使「ベリタス」と共に世界中を見て回ります。最後の天使の言葉「真理は何処にでもころがっている、でも人々はそれを見ようとしない」は60年を過ぎても忘れられません。「ベリタス」という言葉が、真理という意味であることもかなり後に知りました。

成績の変化と、読書の影響

私の成績の変化です。同級生は、小中と1学年1クラス、小学卒業時40人、中学卒業時30人程度でした。スタートが40人中30番くらいだったと思います。その後少しずつ成績が良くなり、そうなると自信がついてやる気も出て、小学卒業時は3番、中学では上位者2名が私立中や電源開発工事の終了による親の転勤で繰り上がりました。小学入学時父親を嘆かせた引っ込み思案で劣等生の私が、私の中学からは例外的に大学まで行けたのは、親や祖母の激励、兄が自分の進学を断念し譲ってくれたことのほかこの読書の効用が大きかったと思います。

読書は、語彙や知識の習得に加え、創造力、コミュニケーション力のアップ等多様な能力の向上に効果があるとされています。ただ問題は今の子供を取り巻く環境です。総じて言える事は多忙さです。習い事もある、ゲームやSNS,インターネット、スポーツもある、読書も今ではデジタル本も増えつつあります。その中でどのように組み込んでゆくかの検討が必要です。今後の世界の、日本の将来像を描き有るべき姿、子供に必要な教育を考え実行して行くことでしょう。今後ほぼ見方が一致しているのは、少子高齢化、長寿化、国際化、競争、格差の拡大、福祉財源の問題等あまりバラ色の未来像は描けていないようです。勿論まだ実現していない将来の事ですから、今後の対応次第で改善は出来るでしょう。その為には、外国の人を相手にしても堂々と自己主張できる人物を育てる必要があります。これは最近本で仕入れたものですが、物事の考え方について成程と思わされた考え方がありました。著者はAPU(立命館アジア太平洋大学)学長出口氏です。この人は経済界からスカウトされての学長ですが、APUは生徒の半数が留学生で授業は英語の日本語の両方、日本人の生徒と留学生は必ず寮で一定期間同室になり交流を図るといいます。今後の日本には必要な形の大学だと思います。出口氏の考え方は、物事は「縦、横、算数で考えろ」とのことです。それぞれ、歴史、世界、データです。私もやってみましたが、結論の変わることもあり、成程と納得しました。ただ、手間暇はかかります。資料、データを集めるに時間がかかる、複数集めないと真贋がアヤフヤということもあります。人間の脳は、防衛本能のために「安易な考え方に走る傾向がある」と言われます。それを防ぐためにも、正しい判断を下すためにもこの「縦、横、算数」は重要でしょう。

私からの提言は、子供の教育の一環として読書の時間を設け、本人の好きなジャンルを選ばせ、規程内の文字で要約する、勿論縦、横、算数は必須です。私は地元紙に投稿することもあるのですが、紙面の関係で500文字程度等の制限があります。多く調べた中からそぎ落としてゆくのですから大変ですが、できあがってみればすっきりした文章になっていることが多いです。読書の効用は自信を持ってお勧めします。

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