文明開化の音がする、明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業

こんにちは、家庭教師みつけ~るの荻原です。
今回は日本の世界遺産について詳しく見ていきたいと思います。みなさん、日本にはいくつ世界遺産があるか知っていますか??
なんと25個も認定されています!(2022年現在)

今回は明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業について学んでいきたいと思います。

世界遺産への登録の経緯

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は、山口県・福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・岩手県・静岡県に点在する23の資産で構成されています。登録面積は構成資産が307ヘクタールで、保護緩衝地域が2,408ヘクタールです。

江戸時代に鎖国政策を行っていた日本ですが、開国した1850年代から1910年代にかけて急激な近代化を遂げます。それを支えたのが「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に登録されている資産群であり、短期間の産業発展を可能にした技術やその歴史などを見ることかできます。また、製鉄・製鋼、造船、石炭産業は日本の根幹産業であり、8つの資産が現役で稼働しています。

2000年代に入ると、多くの近代産業遺産を持つ山口県萩市や九州の自治体を中心に、近代化産業遺産の啓発が行われます。2014年に世界遺産に推薦されると、西洋技術を導入しながら鉄鋼・製鉄、造船、石炭産業の分野で急速な近代工業化が行われたことを示す普遍的な価値があるとして、世界文化遺産に登録されました。

世界遺産に登録された理由

世界遺産の登録基準は以下の10条があります。

  1. 人類の創造的才能を表現する傑作。
  2. ある期間を通じてまたはある文化圏において、建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すもの。
  3. 現存するまたは消滅した文化的伝統または文明の、唯一のまたは少なくとも稀な証拠。
  4. 人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例。
  5. ある文化(または複数の文化)を代表する伝統的集落、あるいは陸上ないし海上利用の際立った例。もしくは特に不可逆的な変化の中で存続が危ぶまれている人と環境の関わりあいの際立った例。
  6. 顕著で普遍的な意義を有する出来事、現存する伝統、思想、信仰または芸術的、文学的作品と直接にまたは明白に関連するもの。
  7. ひときわすぐれた自然美及び美的な重要性をもつ最高の自然現象または地域を含むもの。
  8. 地球の歴史上の主要な段階を示す顕著な見本であるもの。これには生物の記録、地形の発達における重要な地学的進行過程、重要な地形的特性、自然地理的特性などが含まれる。
  9. 陸上、淡水、沿岸および海洋生態系と動植物群集の進化と発達において進行しつつある重要な生態学的、生物学的プロセスを示す顕著な見本であるもの。
  10. 生物多様性の本来的保全にとって、もっとも重要かつ意義深い自然生息地を含んでいるもの。これには科学上または保全上の観点から、すぐれて普遍的価値を持つ絶滅の恐れのある種の生息地などが含まれる。

「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」は2,4の基準を満たしています。どのような点が評価されたのか、わかりやすく見てみましょう。

①急速な産業化を遂げた軌跡を示す

日本は徳川幕府の鎖国政策により、西欧諸国との交流は限られた範囲でのみ行われていました。しかし1853年にペリーが軍艦を引き連れて来航すると、幕府はその脅威を目の当たりにして開国をします。近代化や軍事力強化のために、1865年には横須賀造船所が開設されました。薩摩藩や長州藩といった有力な藩も、薩英戦争や四国艦隊下関砲撃事件などをきっかけに、西洋諸国の優れた技術や軍事力を取り入れる方向に舵を切りました。

明治時代に入ると富国強兵のスローガンのもと産業化の動きが加速し、製鉄・製鋼、造船、石炭産業を中心に大きく成長を遂げます。産業化によって国力をつけた日本は、1894年の日清戦争・1905年の日露戦争に勝利し、列強の仲間入りを果たしました。

日本はわずか50年あまりの間に急速な産業化を遂げました。急速な産業化は非西洋諸国の中で初めてのことであり、世界でも稀な例と言えるでしょう。製鉄、造船、石炭産業はそれを支えた産業であり、歴史的な価値や技術的な価値が高いとして評価されています。

②西欧諸国との技術的・文化的交流が見られる

明治政府は西洋の技術を取り入れるために、「お雇い外国人」と呼ばれる技術者を積極的に採用しました。横須賀造兵廠や横須賀海軍施設の設立に大きく貢献したレオンス・ヴェルニーや、官営八幡製鉄所の建設・運営に関わったカール・ハーゼらが有名です。
機械面では西洋で作られたクレーンやポンプなどあらゆるものが導入され、生産能力の向上に大きく貢献しました。

「明治日本の産業革命遺産」は西洋地域の技術が非西洋地域である日本に伝わり、西洋諸国と日本との間で技術・文化の交流を生み出した点が評価されています。

③現在の日本にも通じる産業

「明治日本の産業革命遺産」は「ものづくり日本」の基礎を築いた点も評価されています。

製鉄・製鋼、造船、石炭産業は重工業と呼ばれ、戦前はもちろん戦後日本の高度経済成長をも支えました。現在でも世界に誇る産業の一翼を担っています。

「明治日本の産業革命遺産」に含まれる23の資産のうちの8つが現役で稼働している点も、明治期に行われた産業化が現在の日本の産業を形作っている点を物語っています。

明治日本の産業革命遺産

「明治日本の産業革命遺産」は広範囲に渡って点在する23の資産を1つの世界遺産とする「シリアルノミネーション」という方法で登録されました。萩エリアには「萩反射炉」「恵美須ヶ鼻造船所跡」「大板山たたら製鉄遺跡」「萩城下町」「松下村塾」、鹿児島エリアには「旧集成館」「寺山炭窯跡」「関吉の疎水溝」、韮山エリア(静岡県韮山市)には「韮山反射炉」、釜石エリア(岩手県釜石市)には「橋野鉄鉱山」、佐賀エリアには「三重津海軍所跡」、長崎エリアには「小菅修船場跡」「長崎造船所第三船渠」「長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン」「長崎造船所旧木型場」「長崎造船所占勝閣」「高島炭坑」「端島炭坑」「旧グラバー住宅」、三池エリア(福岡県大牟田市、熊本県荒尾市、熊本県宇城市)には「三池炭鉱」「三角西港」、八幡エリア(福岡県北九州市、中間市)には「官営八幡製鐵所」「遠賀川水源地ポンプ室」があります。
「松下村塾」や「旧集成館」などは産業と直接的な関係がないように思われますが、急速な近代化や産業化を遂げるバックボーンを支えているとして世界遺産に登録されました。

世界遺産に登録されるには文化財保護法などで保護される必要がありますが、現役で稼働している資産8つの資産は文化財保護法ではなく、港湾法や景観法によって保護されています。

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