漢字学習の重要性と学習のヒント

私は学習塾の講師を8年間勤めていました。主に国語を小中学生にそして小論文を高校生に。
まずこれらの経験から漢字学習の重要性についてお話ししたいと思います。

なぜ漢字を勉強しないといけないのか?

広義の必要性

広い意味で言えば日本人である以上普段生活するうえでも漢字とは切っても切れない関係があります。
例えば、海外旅行に行かれたことのある方ならお分かりいただけると思いますが、英語で表記されている言葉の意味がわからないので生活に不自由を感じることが多くありますよね。これを日本に置き換えますと、漢字を読めない理解していないということは、日本での生活においても不自由を感じてしまうということになります。
これは学習、勉強、受験とか以前の問題です。なにせ日本人として日本での日常生活がまともに送れないということに繋がることになるのですから。

私の担当したある中学生がこう言ったことがありました。「僕は英語が得意なので国語は勉強しなくていいや」と。
私はそれをきいてこう答えました。「これからアメリカやイギリスでアメリカ人やイギリス人としてずっと暮らしていくのであればそれでもいいのかもしれない」
「でも、これからも日本で日本人として暮らしていくのであればそれは間違っているよ」と。
考えてもみてください。
日本語を母語として日本で暮らしているのであれば、どんなに頑張っても英語の能力がその人の日本語の能力を超えることはあり得ないのです。
日本人が英語を勉強するとき、必ず日本語に英語を置き換えますよね。
つまり自分の日本語の能力の中にない言葉は英語として勉強を、理解をすることができないのです。

例えば【economy】という言葉がありますよね。これは【経済】という日本語で置き換えられますが、
もし【経済】という日本語が理解できないのであれば【economy】なんていう英語はもっとちんぷんかんぷんで理解できませんよね。
要は日本語の能力が低いままだと英語の能力もその低さを超えることができないということです。
日本語の能力を高めるということは英語の能力も高めることにつながっているのです。ですから日本語能力の根幹をなす漢字能力は極めて重要だといえます。

狭義の必要性

次に狭い意味でいいますと、試験で点数がとれないということです。
国語、算数、理科、社会、英語どの教科においても設問は必ず日本語で書かれています。
漢字だから国語だけに関わるのだろうと思われるかもしれませんが、漢字が理解できないことによって、国語以外の教科でも設問の意味すらわからないということになってしまいます。
設問の意味がわからないのに点数は取れませんよね。もちろん国語という教科においてはダイレクトに漢字の出来不出来が点数となって現れます。
まず、文章読解問題がおぼつかないでしょう。それよりもなによりも、漢字の読み書きのでない国語の試験は見たことがありません。
それが文章読解問題中にある漢字の読み書きの設問という場合もありますし、直接漢字の読み書きの問題が独立してある場合もあります。

ではみなさん、国語の試験100点満点としてただ漢字の読み書きができさえすればとれる点数はどのくらいだと思われますか。
少なくとも1割の10点、多いと2割20点分もあるんですよ。
中学高校入試の試験に限っていいますと、ざっとどの教科も6割60点が合格ラインですから、漢字で満点とれたとしたら、20点を100点から引いた80点中40点を漢字以外でとればよいということになります。
漢字以外の問題で半分とればいいんですよ。漢字ができるだけで大きなアドバンテージを得ていると思いませんか。
さらに漢字以外の問題についても漢字の意味を理解していて文章が理解できれば大きなアドバンテージを有することになるのです。

漢字の勉強法

では漢字学習の重要性をご理解いただいたうえで、次にどうしたら漢字の勉強をするようになるかですが、漢字にかかわらず勉強全般興味をいかに子供にもたせるかが重要となります。
興味をもち楽しいことは大人でも苦も無く成し遂げることができますよね。
特に子供においては大人よりも好奇心旺盛であるので、放っておいても勉強するようになると思います。そうなればしめたものです。

ではいかにして子供に漢字学習へ興味を持たせるのか。
ここでは具体的な学習方法のヒントをお教えします。
それは漢字の基礎となる部首を楽しく学習するということです。
部首というのはそれだけである程度意味が分かってしまう重要なものです。例えば【にんべん】であれば、「人」に関係する漢字であるというように。体、仙、係、代、信などたくさんありますよね。

れは実際に授業中に行っていたことなのですが、「にんべんの漢字を多く書く大会!」一クラス10人くらいいたのですが、みんな必死に考え考えノートに書きつけていました。誰が一番書けたか、なんてするともっと盛り上がるかもしれません。
友達と競り合いながら学習していくなんて理想の姿ではないでしょうか。
友達が近くにいない場合でも親御さんとの一対一の勝負でもいいと思います。
自分の頭だけで思いつく漢字を書くというのでもいいと思いますが、さらに辞書を使って書くというのもありです。この大会で辞書の使い方を覚えたという子供もいましたよ。

いかがでしょうか。ここでは子供さんに漢字学習に興味を持ってもらう一つの方法をお教えいたしました。もし国語が嫌い、漢字が苦手というお子さんがいたら是非試していただきたいです。

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