大学受験に向けた戦略と高校1年生からの準備
2021年度入試から、センター試験が大入学共通テストに変更になったことは多くの保護者の方もご存じだと思いますが、推薦入試についても過去のものとは状況が変わってきていることはご存じでしょうか。
この記事では、知っておいて損はない、推薦入試について紹介をしていきます。
推薦入試の現状
推薦入試は一部の何かしらの才能に秀でた人だけが受けられる特別な入試制度であり、ほとんどの人はセンター試験を受験して、大学ごとの個別試験を経て、大学合格の切符を勝ち取るというのが大勢でした。しかし、現在、この推薦入試が見直されおり、国公立大学では目標として、入学者の3割を推薦入試合格者にしよう、という流れになっており、最終的に5割までは引き上げることが可能となっております。
まだまだ過渡期なので、実際には2割強といった割合ですが、それでもこの10年ほどで倍の数になっています。さらに推薦入試の活用が活発な私立大学においては、すでに約半数近くにまでのぼっており、一般入試だけでなく、推薦入試も受験方法として利用するという考え方がスタンダードになっています。
推薦入試の種類
推薦入試には大きく分けて2種類、学校型推薦と総合型推薦があり、学校型推薦の中にはさらに指定校制と公募制があります。
学校型推薦
まずは1つ目の学校型推薦についてです。指定校制の学校型推薦はいわゆる指定校推薦と呼ばれるもので、大学が高校に入学者の枠を与え、出願条件に合致した生徒はかなりの確率で合格が確約される入試制度いえます。
公募制の学校型推薦は、出願条件を満たした生徒であれば受験資格がありますが、指定校制と違ってほぼ確実に合格するとは限りません。小論文や面接、プレゼンテーション、学力試験や共通テストを課すなど、試験の種類は大学によって様々です。
以上2つの学校型推薦はどちらも学校長の推薦が必要、というのが一番の特徴です。
総合型推薦
次の2つ目の総合型推薦について。学校型推薦との違いとして一番大きいのが、学校長の推薦を必要とせず、大学側が求める人物像や出願条件に当てはまっていれば、誰でも出願することが可能である点です。昔はAO入試、自己推薦入試といわれていた入試制度です。こちらの試験内容も、小論文や面接、プレゼンテーション、学力試験や共通テストを課すなど、大学によって様々であり、学校型推薦と試験内容の明確な違いというのは一概にはいえません。
推薦入試の利用
ここまでで推薦入試の現状を何となく理解していただけたと思います。では、これからの高校生たちはどのように大学合格に向けた戦略についてお話します。一般入試は1月に共通テストを受験し、2月に国公立大学前期試験、3月に後期試験、その合間に私立大学の個別試験を受けるというものですが、推薦入試は秋頃からすでにスタートします。これまでは推薦入試のメリットは受験機会が増える、デメリットは準備が大変でその間、学力が伸びにくくなる、といわれてきましたが、推薦入試の合格者枠が増加傾向(一般入試の合格者枠が減少傾向)であることを考えると、推薦入試から受験をスタートさせるべきだと思います。万が一、推薦入試が不合格だったとしても、一般入試で再チャレンジすることはもちろん可能です。
推薦入試のための準備
では、推薦入試を受験するためにいつから、どのような準備ができるのでしょうか。大きく分けて2つの準備が必要になります。
準備その1
まず1つ目は、高校の定期テキストでしっかり結果を出しておくことです。5段階評価の評定平均値で高校の成績を評価されるので、これが低いと合格は遠のいてしまいます。この評定は各学年の各教科に算出されます。1年生で確定した評定は、2年生以降変化することはないので、受験が近づいたら頑張ろうでは遅いのです。また、高校にもよりますが、家庭科など、教科によっては、1年時や2年時のみしか開講されないものもあります。例えば国語であれば、3年間毎年授業あり、それらの平均が最終的な評定になりますが、1年間しか開講されない教科だと、その結果が最終的な評定になり、これを失敗すると全体の評定平均値を押し下げることになるため、注意が必要です。
準備その2
そして2つ目が、「何かを頑張る」ことです。漠然としすぎてわかりにくいと思いますが、部活動、スポーツ、生徒会活動、学校外の活動、なんでも大丈夫です。できればこれらで全国大会出場や、表彰されたなどの結果を残せるとさらにプラスになります。要は推薦入試のためのネタ作りをしておくことが大切なのです。意外な狙いどころとしては夏休みなどによく募集される小論文コンクールなどの各種コンクールに作品を応募し、入賞を目指すといった方法もおすすめです。コメンテーターとしてよくテレビで見かける古市憲寿さんは、慶應義塾大学に推薦入試で合格しているのですが、そのネタ作りとして短い文章ですむ詩を書いて賞を受賞し、省エネで大学進学を果たしたというのは有名な話です。また、必ずしも受賞履歴が必要なわけではなく、ボランティア活動に継続的に参加したなども推薦のネタになります。こういった「なにかを頑張る」ことは受験を強く意識する高校3年の夏になってからでは遅すぎます。そのため、高校入学後、1年生のうちから、志望大学は決まっていないとしても、早めの準備をしておくべきなのです。
最後に
2024年度入試からは共通テストに情報が入るなど、さらに大学入試制度が変更されます。今後もよりより形を各大学が模索しながら、様々な入試方法が考えられると思います。大学ごと、学部ごとで入試形態は異なるので、1つ1つ自分で入試情報を集めなければいけないのが大変ではありますが、少なくとも高校3年生の秋の推薦入試から大学受験がスタートする、という流れは今後当たり前になっていきます。そのためにも、高校入学したら一段落ではなく、3年後の大学受験を念頭に置いた準備を意識しながら高校生活を送ることが大学合格への近道になるのです。